恵みシャレー軽井沢の新たな働きについて

 多くの方にご愛顧いただきましたキリスト教宿泊研修施設「恵みシャレー軽井沢」が施設の老朽化に加えて、コロナ禍により、それまでのスタイル、規模での営業を継続することが困難になり、2020年10月末に閉館してから1年半が経過しました。その間、多方面から今後の「恵みシャレー軽井沢」の働きについてお問い合わせをいただいています。この働きが大切にされ、祈られている働きであることを感じ、背後で祈り続けてくださった皆様に心から感謝いたします。

 本施設は、長年諸教会の修養会・キャンプ、ミッションスクールのオリエンテーション・自然教室・修養会、恵みシャレー軽井沢主催の聖書の学びを初めとした各種セミナー、また、クリスチャンの家族やグループでの宿泊など、多岐にわたりたくさんの方々にご利用いただきました。

 1999年から始められたクリスマスイルミネーションでは、町と協力してその働きが行われるようになりました。この働きでは未信者の方が大勢施設に訪れ、TEAM宣教師と協力してトラクト配布などの伝道活動が行なわれ、町の中でもキリスト教の施設としてより広く認知されるようになりました。

 鹿島の森と雲場池に囲まれた広大な面積をもつ、自然豊かな恵みシャレー軽井沢は、クリスチャンの方々にとって主と共に憩う場所、また、主の取り扱いを受ける信仰のターニングポイントとなった場所でもありました。その背後には、現地のスタッフを始め、多くの方々の協力と祈りが積み上げられてきたことを深く覚えます。

 その一方で、建物や設備の老朽化が目立ち始め、大きな課題となっていました。2019年には、井戸水を汲み上げていたポンプが壊れて、団体客の利用中に水が出なくなり、お客様にご迷惑をおかけしました。受水槽にも不具合があり、その解決には1か月以上を要しました。また、ボイラーの破損による交換、床の腐った箇所の修繕等々、日々施設のトラブルが相次いだ1年となりました。

 建築家の方に調査を依頼したところ、建物については、今後当面毎年1000万円規模の大規模な修繕が必要であるとの見解でした。さらにトラブルが相次いでいた設備の入れ替えの必要等を考えると、このままの状態で、今までのような働きの継続は困難であると判断するにいたりました。

 軽井沢のこの地で働きを始めたアメリカ人宣教師タイガート師の最初のビジョンは中国宣教でした。しかし1949 年、中国での伝道の門戸が閉ざされ、アメリカへ帰る途中、宣教師が集まっていた軽井沢を訪問。そこで日本の山間僻地にまだ福音が伝えられていないことを知り、未伝地に福音を伝える日本人伝道者を養成するため、この場所を購入して軽井沢聖書学院を設立しました。

 当時の神学生たちは、家畜を飼い、畑を耕し、自給自足の生活をしながら講義を聴き、伝道に出かけていきました。訓練を受けた学生たちはタイガート学院長の宣教師としての生き方に深く感銘を受け、それぞれがビジョンを与えられました。聖書学院の働きは22 年間続けられ、1971 年に閉院しました。

 タイガート師による軽井沢の聖書学院のビジョンはTEAM 宣教団に引き継がれることになりました。軽井沢クリスチャンセンター(KCC)の名でキャンプ場として宣教の働きが継続され、当初運営には、ショーン、ジェンセン両宣教師がその任に当たりました。

 その後、主の働きのためKCCのより良い活用が検討される中で、TEAM宣教師であり、いのちのことば社の責任者でもあったK・マクビーティがディレクターとして立てられました。軽井沢クリスチャンセンターは独立したミニストリーとして継続しながら、いのちのことば社伝道グループの一部門となり、施設の新築や改築が行われ、通年宿泊可能なリトリートセンターとなり、1987年に施設名が「恵みシャレー軽井沢」と改められました。

 恵みシャレー軽井沢の歴史は、1949年から始められたタイガート宣教師による聖書学院としての働き、次にTEAM宣教師団による軽井沢クリスチャンセンターとしての働き、そして、いのちのことば社としての通年宿泊可能なリトリートセンター働きと形態は変化しているものの、最初より今まで一貫して福音宣教とクリスチャンの霊的成長のために用いられてきました。

 いのちのことば社理事会、役員会では、今まで神様の導きの中で宣教の働きが継続されてきたこの地をどのように用いていくべきなのか、今後の働きについて祈りを積み重ねてきました。施設の運営を他団体や一般業者へ委託することなど、様々な可能性を探りましたが、最終的に、土地の一部を売却して資金を確保し、規模を縮小した形で新たな働きを始めることといたしました。売却先については、キリスト教関連団体の可能性を求めて、各方面と交渉をしてきましたが、最終的には、一般の不動産会社に売却することになりました。

 現在、70年以上にわたり、宣教地として用いられてきたそのスピリットを継承していきたいと考え、次の事業の準備と検討を進めています。また、並行して建物の解体作業を行っています。懐かしい施設が取り壊されることは、今まで利用してくださり、たくさんの思い出がある方々にとって寂しさを覚えることであり、残念に感じられることと思います。私たちにとっても辛く大きな決断でした。しかし、神さまは握りしめていた手を開くときに、そこを新たなもので満たしてくださる方です。

 具体的な計画については、詳細が決まり次第、お知らせいたします。

 新たな計画が神様のみこころにかなったものとなり、これからの時代にさらに宣教のために豊かに用いられる働きとなるようお祈りに覚えていただけましたら幸いです。

「見よ、わたしは新しいことをなす。やがてそれは起る、あなたがたはそれを知らないのか。わたしは荒野に道を設け、さばくに川を流れさせる。」イザヤ書43章19節

2022年7月
いのちのことば社
社長 岩本 信一